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2014年10月06日

全竹ヘチ竿の製作 【火入れ、矯め】

 竿の製作経験の少ない私にとって、この最初の段階での火入れと矯めは
 非常に神経を使います。
 今でも納得行くように真っ直ぐ矯めることは出来ません。
 まさに経験を必要とするとても難しい工程だと実感します。

 また、最初の段階での火入れと矯めはとても肝心だと思っています。
 完成までに微調整のための矯めはあったとしても、大掛かりな火入れと
 矯めをしなければならない矯め方であってはならないと思っています。

 私は穂先用の竹、胴用の竹、それぞれ異なる竹を組み合わせたて竿を製作
 する場合は竹毎に火入れ、矯めの作業を行っています。
 今回のように1本の延べ竹で2本継ぎの全竹竿を製作する場合は、2本を
 継いだら最初の延べ竹の状態に戻るようにキッチリ切り組むので矯めしろを
 作ることが出来ません。 矯めしろの無い竹は両端をしっかり矯めることが難
 しくなるので、延べの状態の時に火入れ、矯めをして曲がりを直し、その後に
 切り組みを行う方法をとっています。



火入れ、矯めに使用している道具

   矯めの道具

 ①卓上コンロ
   職人の方達は備長炭や専用のガスコンロを使用して火入れをしますが、
   私のように1本だけ火入れする為にそのような装備は必要ありませんので、
   卓上コンロ或いは家庭用のガスコンロを使用しています。
   延べ竹を使って竿を製作する際、私は延べの状態で最初に火入れ、矯め
   を行う為、固定されているガスコンロでは作業ができません。
   そのような場合に卓上コンロを使用しています。
   切り組を終えた竹を矯める場合は簡単に作業が始められるガスコンロで
   矯めを行っています。

 ②セラミック焼き網
   セラミック製の焼き網を使用することで炭火のような遠赤効果が得られ、
   竹の内部までじっくり火入れをすることが可能になります。
   以前は石綿の焼き網を使用していましたが、今では健康上の問題から
   石綿の焼き網は販売されていないためセラミック製の焼き網を使用して
   います。
   ※直火で火入れを行うと竹の内部に火が通る前に表面が焦げはじめる
    ことになってしまうので、私は必ず焼き網を介在させています。


 ③矯め木
   竹の太さに応じた矯め木を幾つか用意します。
   矯め木はホームセンターで半端材を購入し自作しています。
   矯め木を製作する場合の木材は硬材(桜、樫など)を極力使用しています。
   軟材の矯め木で太い竹を矯めると矯め木が割れてしまう場合があります。

 ④指袋
   以前にも紹介しましたが、私は綿のマスクを2枚繋ぎ合わせたものを指袋
   として使用しています。
   綿マスクの厚みがあれば火入れで高熱になった竹でも十分に矯めの作業
   が出来ます。
   

手元竹(根堀破竹)の火入れ、矯め
 今回、手元に使用する破竹は以前に火入れ、矯めはしてあり曲がりも出てい
 ないのですが、月日が経っているので、火入れ、矯めを行います。
 根の部分は直火を当て焦がしたあと、平ヤスリ等を使用して形を整えます。
 ※焦がした箇所は炭化するので削りやすくなります。 また、削りだした根の
  部分がこげ茶色になり竿全体のアクセントになるのでそうしています。



布袋竹(延べ竹)の火入れ、矯め
 購入した延べの布袋竹はある程度矯められてはいますが、節の曲がりはある
 ものなので、火入れ、矯めは必ず行います。
 布袋竹や真竹など節が出っ張った竹を矯めるときや、局所的に曲がりを直す
 必要がある場合は、矯め木に矯めたい箇所を押し当てるように矯めます。
 また、節が先端に向かって螺旋を描くようによじれている竹もありますので、
 そのよじれも早い火入れの段階で直すようにします。
 力一杯よじれを戻そうとすると竹が繊維に沿って裂けてしまいますので、力を
 加減しながら戻します。
 ※竹を購入する際に素性が良く、節間が詰まったよじれの無いものを選べれ
  ば良いのですが、流通品の素材から自分好みの竹を見つけることは結構
  難しいです。



印籠芯(矢竹)の火入れ、矯め
  印籠芯のように途中に節の無い竹を矯める時は、曲がりを直すというより
  反れている竹を真っ直ぐにする矯め方になります。
  火入れした芯竹を矯め木に当て竹を前方に押し出しながら、場合によって
  は竹を回しながら前方に押し出すようにして矯めています。
  節間が広く節と節の間が反っている竹を矯めるときにもこの様な矯め方を
  することがあります。
  真っ直ぐ矯められているかはテーブルの上で転がして確認しています。


【火入れ、矯めの作業で私が経験、実感したこと】
 ・火入れを重ねることで竹は強度を増していきますが同時に曲がりも直し
  難くなります。
 ・行き過ぎた火入れは竹を炭化させ、繊維を破壊してしまうため、そこから
  折れてしまう可能性が高くなります。
 ・穂先に向かっていくに従って竹は細くなっていくので火力を弱めるか遠火
  にして火入れ、矯めを行います。
 ・晒しを終え、一度火入れがされている竹は水分も少なくなり、硬さが増して
  います。前述したように火入れを繰り返した竹の節を局所的に無理に矯め
  ようとすると節から折れます。
 ・穂先の最後の一節の曲がりがどうしても直らず、何度か火入れを繰り返す
  ものの硬さが増すばかりで、いずれ焼け焦げてしまうと苦慮していたとき、
  娘が髪を真っ直ぐするためのヘアアイロンが目に入り、これなら焼け焦げ
  ることなく適度な温度で曲がりを直せるのではないかと試してみたところ、
  ばっちり!! 真っ直ぐにすることが出来ました。



【注意】
 屋内で火入れ、矯めの作業を行う場合は換気に注意して下さい。






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Posted by 釣りバカけいぞう at 20:32│Comments(2)自作の道具
この記事へのコメント
ケイゾウさん、まいど!

何十年も使って無かった和竿は、
1回火入れをしないとダメですかね?
竿の曲りは、ありませんが、何か
柔らかくなっているような・・・
感じがしています。
ドライヤー良いですね。
Posted by RFC黒鯛良夫 at 2014年10月11日 17:48
会長、こんにちは。

ご質問の件ですが、専門知識を持ち合わせていませんので、
的確なご回答は出来ませんが、私の個人的な意見として、

①竹の内部が水分を含んで腐食している?
②竹の内部が腐食していたと仮定すると竹の繊維は破壊
 されてしまい本来の強度は失われている?
③火入れをしたとしても腐食の激しい箇所から縦に裂けるよ
 うにへし折れてしまう?節の腐食が激しい場合は節から
 折れてしまう?

ということが思い浮かびました。

やはり専門の竿師の方にご相談されることをお薦めします。

P.S.
 ドライヤーではなく髪を挟んで真っ直ぐにするアイロンを穂先
 の修正に使用しました。
Posted by 釣りバカけいぞう釣りバカけいぞう at 2014年10月15日 17:13
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